角田 つくることができた段階で、僕なんかは、量産に入る前の段階で展示会に出したりするんですけどね。 展示会ってなにかっていうと、受注会なんですけど。たとえば商品をつくったとしますよ。工場でも量産ができるという段階として。まあWebで自分で売るという手もあると思うんですけど、さらに好きなお店なんかで売ってもらえると嬉しいですよね。
でもこれ、最初はどうやったら売ってもらえるのかわからない。なので、どっかのお店にバーンって入って「すいません、これ、売って欲しいんですけど!」って言っても、そこで働いているレジの人はバイトさんだったりもするし、扱ってもらうってことに対してすごく遠いんですよね。 なので、効率的な方法として、僕らがお店へ足を運ばずに、ブースを構えて、そこに、バイヤーさんたちが来てくれて、商談をするという場。それが、展示会というものです。
そもそも、バイヤーさんって、自分で見つけた!みたいなことになりたいんですよ、きっと。自分で発見したっていうことになりたい。いきなり売り込みされるよりも、発見して「あ、これ、めっちゃ面白いじゃん」っていうのが好きなんです。たぶん。
青木 タイミングもありますもんね。展示会はバイヤーさんが「発見する」目線にある状態だから見てもらいやすい。それに、発見してもらうことで、僕たちでは思いつかなかったような、違うアプローチでの売り方を教えてもらえることもありますよね。
青木 次にプレスリリースですね。プレスリリースっていうのが、どうやら世の中にはあるっぽいっていうことに、僕はTENT結成後に気づいたんですけど。
雑誌とかに載っている「こんなものがあるよ」って小さいコーナーにあるじゃないですか。あれって、必ずしも編集の人が街を歩いて「これ素敵」って見つけて書いているものばかりじゃなくって、実は、全国のあらゆる企業からプレスリリースっていう写真も文字も全部揃っている資料が届いていて、その中からピックアップしたものもかなり掲載されているんですね。
だから、実は世の中の大半は、他薦じゃなくて自薦なんですよね。これ結構衝撃で。基本は、自薦の世界なんです。
角田 実は、誰かが見つけてくれるのを待っているだけじゃダメで。手を上げないと、載せてもらえないよというね。
角田 次に「売る」ということ。これに関しては段階があるんですけど、思いついたら今はStoresとかBaseとかありますし、本当にWeb販売の敷居は下がっているんですけど、Webストアをただ立ち上げるだけじゃ売れないんですよね。人を呼びこむための努力ってものすごい大変なんです。
結局もう、お店を1つ立ち上げるくらいの努力を注がないと、難しいと思います。自分で製造とデザインをやっているのに、そこの努力もするっていうのは、もうかなり大変だと僕は思っていて。
青木 お店って、極端な話、人の出入りが常にあるかどうかが結構でかくて。いい商品があるかどうかというのもありますけど、常に人がいる場所を構築するのが、けっこう大事なんだなあと思います。
角田 しかも見たこともない商品って、検索もできないじゃないですか。たとえばオカエリロボットなら「玄関に置いておいて、人が帰って来たら目が光るロボット」なんて検索しないじゃないですか。だからこれをどうしたら気づいてもらえるのかって言ったら、やっぱり人の目に触れるところに置くっていうのがいいと思うんですよね。なので、僕らはお店に卸すってのをメインにしています。
って、あれ?青木さん、酔っ払ってきた?
青木 ええ、あ、酔っ払ってますよ、すごい気持ちいい。ははは。
はい、お店に卸すですね。世の中には、すごく製品を愛してくれるお店もあるんです。アシストオンさんとか。そんな説明の切り口があったの?って。自分も思わずポチりそうになっているという。そういうお店もありますね。
角田 お店はプロなんでね、そことの関係性を作り上げていくっていうのも大事ですね。で、もう1つ、問屋さんという段階もあって。僕らはデザインもして製造もしているので、何百件も何千件もお店に出荷して行くって、僕らが直接配送するのは限界があるんで、そういうのをまとめてやってくれるのが問屋さんですね。なんの利点があるかっていうと、数が出る様になる。とはいえ問屋さんっていう段階までいくには、原価率とかもかなり低くしなければいけなくて、それはそれで努力が発生するんですけどね。
青木 あとはイベント販売なんかもありますね。まあ、僕ら弱いところなんですけど、顔の見える販売方法みたいなのも、買いに行く立場としてはいいなあと思いますね。「あ!いい人」って思うと、買っちゃう。で、そのあと使うのも嬉しいんですよね。
角田 陶器とかは、とくにそういうところありますよね。
トークは、次のページに続きます。
ここですこし
会場に来られた方からの質問コーナーを
お楽しみください。
角田 なぜものづくりをするのか。すごい質問だね。
青木 でもたしかに、ギフトーショーなんかの展示会とか行くと、本当にいろんなブースがあって、めちゃめちゃものがあって、これ以上モノいらんのちゃう?ってすごい打ちのめされますよね
角田 「俺、作らんでもいいんちゃう」ってね、思いますよね。
青木 思いますよね。
角田 でね、あのね、なぜ物作りをするのかって言われたら、もうね、いっちゃいますけどね、作りたいから、しかない。どうですか青木さんは。
青木 作りたい!考えたい!楽しいからずっと続けたい。「でもこれで食って行くにはどうしたらいいんだろう」。
角田 なんですよね、だから、つくりたいものがあって、僕なんかよく言われるんですけど、おもちゃ作ってたのに、なんで家具なんて、ってよく言われますけど「いいことおもいついちゃった!」ってことしかないんですよね。「あわわ、、、これ、おっきくしたら、家具になる!!」って、思ったんです。
そう思ったら、もうそれは出して行くしかなくて。
よくね、世の中に対して、「こういう社会問題があるから、こういう解決方法で」とか、よくあるじゃないですか。デザイン関連のお話として。そんなんはもう、後付けです!
青木 後付け。あとづ、、、都市伝説です!
角田 都市伝説です!みんな後付け!、、、みんなは言い過ぎかな。
青木 あ、YOKAもね、木を
角田 そうですね。
うちの家具は国産の間伐材を使用した、合板を使用したものなんです。東北で作った材を東北で加工して、そこから全国に送り出すというものすごい環境負荷の少ない生産の仕方をしています。
、、、っていうふうにいったら、すごく良い風に聞こえるじゃないですか。でもね、これ、偶然なんで。木工職人さんから「この素材が面白いよ。木目があるのに合板なんだよ」って言われたんですよ。それで、加工してみて、これいいっすねってなって、そこに後から「実は国産なんだ」とか「実は工場は山形県なんだ」とか、状況が後から来たんです。それをこう、整然と良い感じで説明できるようにしてるだけなんです。
青木 とはいえ、やっぱり地球にいいことしたいっていう思いもね
角田 たしかにね、そういう気持ちもね、あるんですよ、あるんですけど、偶然そうなったっていうのも、取り込んでいくという
青木 偶然っていいですよね、偶然が大事なのはなんでかっていうと、やっぱ欲しいものじゃないと、いわゆる言葉としての「いいもの」作ったって、別に説教くさいし、いらないし。それじゃあ間伐材だって回らないし。
角田 間伐材でつくった「いいもの」です、ってのが自分が欲しいものじゃなかったら、ぜんぜんデザインしててテンション上がらないし。誰が使うねん?これ!とか思いながら作ってもしゃーない。
青木 めっちゃほしい!でも、実は、っていう。
角田 そうそう。俺なら買うよ!ってものを、やっぱり作らないといかんですよね。