2. 健康的な勝ち負け


青木 idontknowの第二弾は、楽しく遊んでいるうちに、考える脳みそがトレーニングされるようなゲームを考えてみようということですが。


治田 チェスや将棋、オセロや碁のような、思考型のゲームですね。


角田 うん。でね、実はまだ他にも、思考型のゲームが作りたい理由があるんですけど、いいですか。




治田 どうぞ



角田 「勝ち負け」にまつわる話って、いろいろあるじゃないですか。たとえば、本当かどうか知らないけど、運動会なんかでも、みんなで手を繋いで走らせる学校がある、なんてニュースがあったり。


青木 あえて順位をつけないで「平等だよね」という風潮。



角田 それって本当に良いことなんかなーって思うんですよね。負けたからこそ次の道が見つかるみたいなことって、けっこうあると思うんですよ。「かけっこで負けたから、勉強をがんばる!」とか「僕は音楽がんばる!」とか、


治田 クリエイター界隈の職業の人には、少なからずありがちですよね。クラスの人気者というわけでもなかったり、運動や勉強が得意ではなかったからこそ、絵や音楽に活路を見出すというパターン。




田久保 健康的な勝ち負けっていうのはありますよね。


角田 でね、僕は昔、ゲーム会社でキャラクターデザインをやっていた時代がありまして。


青木 ゲームって、いわゆる、テレビゲームとかケータイゲームとか、ああいったコンピューターゲームですよね。


角田 うん。ああいうものって、そもそものスタート時点で、実はすごいことしてるんですよ。


田久保 そもそも、ですか。


角田 うん。野球やテニス、トランプとかチェスとか将棋とか、昔からあるゲームっていうのは、勝ち負けを競うわけじゃないですか。たとえば、サッカーはみんなでボールを回しあって「いい汗かきましたねえ」で満足できるものじゃなくて。


治田 試合してこそ、楽しいんですよね。練習だと、本気じゃないから技も身につかないですし。


角田 勝ち負けをつけるって面白いことなんですよね。でもね、勝負事ってしんどいじゃないですか。片方が勝って、片方が負ける。つまり、片方はしんどいおもいをする。


青木 ふむふむ


角田 それが嫌だってことで、ゲーム会社は、全員がコンピューターに勝つってことにすれば、全員が勝者になれる!って思いついたんですよね。



青木 たしかに、人間は、誰も負けない。全員が勝利を味わえる。


角田 それって不健康なんじゃないかなと、当時ゲーム会社に勤めていた時に思ったわけです。みんなでワイワイ遊んで、人と人とで軽い勝ち負けをいっぱいしたほうが健康的だと、僕は思うんですよ。

 僕なんかは昔、家族でトランプやらオセロやらやって「負けた、悔しい」それが、今思うと大事だったぞと。


治田 僕は今でも家族でトランプとかやるんですけど、フィジカルなゲームって楽しいですね。感情がむき出しになるのがいいです。叩きつけるようにカードを出しちゃったりとか。




田久保 「なにを本気になっちゃってんのさ」って冷笑するんじゃなく。ちょっとした勝敗に、本気になるからこそ面白いんですよね。


治田 うちは娘が三人いるんですけど、この子はおしゃべりが得意だから言語系のゲームだと勝てる、この子は反射系、とか、やっぱり得意不得意があって面白いですね。


角田 そうそう、ゲームの数だけ、勝者がいる。負けがあるからこそ、他での勝ちが面白い。


青木 小さい時から、勝つ事負ける事に、軽い感じで慣れておくと、自分の得手不得手がわかってくるから、たしかに良いかもですね。


角田 でね、そんなカジュアルな勝ち負けを日常に取り入れる方法として、も、ゲームは魅力的だと思ったんです。


田久保 なるほど納得です。ではその上で質問なんですけど。


角田 はい 


田久保 それだけだと、既存のゲームでも実現できそうだと思うんですけど、今回、新しいゲームを作りたいというのは、どういう理由からなんですか?


角田 そう、新しいものをわざわざ作るからには、理由があるんです。実は、今ある思考型のゲームへの不満、というか、勿体ないなあ!と思う部分があるのね。


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