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5. 焚き火とメディア

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角田 いろいろ流れを説明しましたけど、いまお話してきた、試作なり工場で生産の体制を整えて、展示会に出してバイヤーさんと話しして、お店に置いてもらうっていう流れまでは、がんばったらできると思うんですよ。つくったものがお店に並んだ、わーい!っていう状態までは、がんばればできることなんです。

 でも、これで生計を立てるっていうのが大変で。これを、年に何回も、ずっと続けて行くという、それが、本当に大変です。やらないといけないんです。これができるかどうかというのが、ものを売るプロかどうかというところなんですね。本当に、本当に!くじけますからね。いろんなことを笑って済ませられる様な人になります。やってみると。


青木 そうですね、この「作る、伝える、売る」が終わったら、僕たちの感覚からするとまだ、ちょっとコゲから種火がついたくらいなんですね。それを、フー!フー!って、一生懸命酸素を送って育てて行く。


角田 僕はね。新商品を作るっていうのを、「薪(マキ)をくべる」と呼んでいます。売れているという状態を火だと思ったら、火って、だんだん弱くなって行くんですよね。商品が薪一本だとしたら、それが太い薪なのかよく燃える薪なのかっていうのは、商品によっていろいろありますけど、やっぱり火がどんどん小さくなっていくんです。

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 なので、そこにやっぱり新商品を展示会ごとにくべていって火を大きくしていく、それで僕たちは暖まる、ということを常に続けて。 たまたま良い風が吹くとバーっと燃えたりもしますし。あとね、メディアを。


青木 そうですね。新聞紙をギュッと丸めて投入すると、ボッ!って燃えるんですけど、すぐ灰になるんですよ。これ「メディアを投入する」って僕たちは言っているんですけど。


角田 焚き火が弱くなってきたら「あーあかんあかん、新聞紙!」って、ちょっと盛り上げようとする、あれをねえ「メディアを投入する」って。




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(会場笑)


青木
 一見めっちゃ燃えるんですよ「うわー燃えた!」って。でもフワァ〜ってすぐ消えますからね。


角田 そう、そのね、燃えている間に、ちゃんとしたマキに火がつくようにして行くのが大事なんです。メディアを投入する前に、薪をしっかり組んでおかないといけない。これをね、本当にキャンプで焚き火をしながらね。


青木 「ここでメディアを投入!」


角田 「青木さん、早い!まだダメだ!しっかり下地を作ってからでないと!」ってね。


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トークは、次のページに続きます。

ここですこし
会場に来られた方からの質問コーナー
お楽しみください。

会場からの質問コーナー  その5

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デザインする上で
一番大切にしていることはなんですか

角田 さっきも言ったけど、自分が欲しいかどうか、ですね。


青木 あと、言ってないことでいうと、なんか、しびれる!っていう瞬間があって。でも、よくあるのが、しびれるアイデアがあって、それを実現しましたって話なんですけど、そうじゃなくて、全行程であるんですよ。工場にこれができませんでしたって言われた、これなんとかしなきゃなあって話し合っているときに、うわあ!できるの思いついた!とか。


角田 これって、こっち側から留めたらいけるんちゃう!うわあ!とかね。


青木 ですね、で、パッケージはパッケージでそれがあって、とか、全行程でしびれること。


角田 ありますね。TENTさんとは、その、仕事での絡みはそんなにないんですけど、よく一緒にアイデア出しとかしてて。本当にTENTさんのブレストのうまさとかは天下一品なんですけど、本当にね、3人で震えたこととかもあるからね


青木 すごい良いアイデアが出たあとで、良いと思う理由を1時間言い合うっていう。


角田 そうそう「これって、ああしてもいい」 


青木 「こういう捉え方でも、いい。」 


角田 「ホンマやー!」っていう。で、腰が抜けて席立てないっていうね。


青木 ですね、あれを、極力出すっていうね。そうすれば結果がついてきますね。こんなもんでいいんちゃう?は、本当に結果に繋がらないですね。


角田 本当ですね。僕なんて危ないんですよ止めてもらえないと、突っ走っちゃうから。


青木 「大事にしている」とは違うかもしれないですけど「これはしないようにしている」というのはありますよね。


角田 そうね、さっきの「偶然を生かす」ところの話もそうなんだけど、社会に役に立たないこと、環境負荷の高いことは、できるだけやらない、というのは、わざわざ言うまでもない前提として、ありますね。


青木 あと、ideocracy(日本タイトル「26世紀青年」)というとっても面白い映画があるんですけど、そこで描かれている未来が、人類がバカばっかりになっちゃた!というディストピアな世界なんです。消費社会の極みみたいな状態なんですけど。ああいった世界へ向かうのは嫌だなあという気持ちはあります。 言い換えると、与えられたものを受け入れたいという気持ちよりも、創意工夫したいという気持ちに応える道具を作りたい、とは思っています。

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